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子ども食堂が共同農園 自給で自立を 食材確保、直売し運営費に 土地も指導も 農家協力 群馬県安中市の3団体

 2019年1月11日 7時0分   日本農業新聞


  子どもらに食事や居場所を提供する「子ども食堂」で、運営者と子どもらが野菜を栽培し、食堂で使う食材を自給する取り組みが始まった。群馬県安中市で子ども食堂を運営する3団体が、地元農家と「安中子ども食堂共同農園」を開設。食材確保に加え、食育にもつなげる。他の食堂にも無償提供する他、直売して運営費に充て、自立した安定運営を目指す。(三浦潤一)


「おいしい!」「お代わり!」。昨年12月、同市のカフェ南ヶ丘で開かれた「ジジババ子ども食堂」には、唐揚げやパスタを頬張る子どもの元気な声が響いた。この日は子どもや保護者、地域のボランティアら15人が、ケーキなどクリスマスの特別メニューを楽しんだ。共同農園で収穫したハクサイに加え、米や野菜は、長沢尚さん(85)ら活動に賛同する地元農家5戸が提供。地元産農産物をふんだんに使った栄養バランスの良い食事に加え、野菜に関するクイズや地域の人との交流に、子どもたちには笑顔があふれた。


同食堂は2017年9月にスタートし、月に2回開いてきた。食材の多くは寄付で賄うが、肉や魚、足りない野菜はスーパーなどで購入。購入費や万が一のための保険加入費用がかさみ、運営の課題となっていた。


そこで、運営する宇佐見義尚さん(71)が食材の安定確保へ、他の食堂との共同農園を発案。農家の集まりに参加し、畑を貸してくれる農家と栽培を指導してくれる農家がいないか呼び掛けたところ、「遊休農地はたくさんある」と多くの農家が賛同した。中島てる子さん(85)が条件の良い農地11アールを無償で提供。長沢さんや有坂充子さん(70)が苗や資材を提供、栽培も指導し、昨年9月にハクサイやブロッコリー、キャベツ、タマネギの苗を定植した。




 

 栽培管理は宇佐見さんや地元ボランティア、農家が行い、12月には初めて子どもたちとハクサイを収穫。三つの子ども食堂で使い、子どもらに振る舞った。

長沢さんは「お代わりをする子どもを見てとてもうれしかった。腹いっぱいに食べさせてやりたい」と話す。中島さんは「遊休農地を将来を担う若者のために役立てることができてよかった。土に触れ、明るく優しい子どもに育ってほしい」と期待する。

 

 今後ブロッコリーや春キャベツを収穫する予定。今年はイタリア野菜など多品目に挑戦し、三つの食堂以外の食堂にも無償で提供する他、フードバンクにも寄付する。収穫だけでなく、栽培管理も子どもたちに参加してもらう計画だ。軌道に乗れば直売し、利益を魚や肉の購入など運営費に充てる、新たな子ども食堂のモデルを構築していきたい考えだ。

宇佐見さんは「毎月の食堂運営で、費用の負担が重かった。長く子ども食堂を続け、子どもや地域の人の居場所をつくるため、新たなモデルを確立し、発信していきたい」と抱負を語る。


地域と信頼関係必要

 

 全国400強の子ども食堂が参加するこども食堂ネットワークの担当者は「子ども食堂専用の農園は珍しく、これまで聞いたことがなかった」と話す。農家からの寄付に加え、市民農園で余った野菜や家庭菜園の野菜の提供など、農作物の支援も広がっているという。

子ども食堂は全国で広がり、「こども食堂安心・安全向上委員会」によると、昨年4月時点で2286カ所と16年に比べ7倍に増えた。ただ、食材や場所、人手の確保に加え、衛生面などの安全・安心の問題から利用者が集まらず、休止に追い込まれるケースも少なくない。同ネットワークは「今後さらに浸透していくには、地域との連携に加え、学校や教育委員会と信頼関係を築き、どう連携していくかが重要だ」と指摘する。



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